HEAD/phones~ヘッド・フォン~
『すげぇ…』
ノブオは感嘆の声を発した。
『なんだよこれ…すげぇよ…』
徐々に気持ちは高ぶる。
「どう思う?」
声は問いかける。
『どうって……すげぇ!…でも、これが何なんだ?』
「これが本当の事だとしたら?」
『本当って…これが??』
ノブオは粉々に散らばった地球の欠片を見つめた。
「そう。遠い昔の真実」
『遠い昔だって?!冗談だろ?あり得ない…俺は…』
『信じるか信じないかは、あなたの自由』
声は冷たくそう言った。
『だって信じられるわけないだろ?こんな事』
ノブオは今は亡き地球の姿を想像しようとした。しかし、色や形や大きさ、すべてを思い出す事が出来ない。知っているはずなのに、記憶にあるはずなのに何一つ思い出す事が出来ない。
---すべての記憶は嘘だったというのか?そんな事があるはずない。だって俺は…。
「どんな気持ち?」
『バカな!俺は生きてきたんだ!今まで…生きてきたんだ……なのに、なのに全然思い出せない…親や友達や全部が思い出せないんだ…なぜだ?』