HEAD/phones~ヘッド・フォン~

ノブオは困惑していた。
頭の中が空っぽになってしまって、不安で怖くて自分の存在が消えてしまうような、そんな気がしていた。周りに広がる宇宙では自分の姿がとても小さく感じられる。
このまま消えてなくなっても、誰にも気付かれる事はないだろう。

「地球」

小さな声がした。

『…地球……そうだ!地球だ!…でも……』

思い出したような気がしたが、すぐに頭の中は真っ白になった。

「これが真実」

『…何が真実なんだ?』

「空っぽの世界」

『分からない…どうなってんだ!全然分からない』

「何も考えなくていいの。真実に魂を委ねなさい」

『え?』

急に体が重くなり強い目眩を感じたかと思ったら、そのままノブオの意識は消えてしまった。

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