HEAD/phones~ヘッド・フォン~

『…なんだ…ここは?』

ノブオは目の前に現れた景色を見て驚いた。緑や水で溢れているのだ。それに太陽まである。

『この景色は……ち、きゅう…?』

広い大地に緑と水。その光景は正しく地球そのものの姿だった。やがて、ノブオは天国のような地に降り立った。

美しかった。近くで見てもそれは変わらない。太陽の光に覆われた世界は、目が痛くなる程の輝きに溢れていた。

ノブオはすぐ横を流れる川を覗き込む。透き通った水の中に生物はいない。しかし、ノブオは何も感じなかった。水を両手ですくい上げ一気に飲み干す。喉を通る冷たい刺激が気持ちいい。今度は靴を脱ぎ裸足になって川の中に入った。さらさらとした水の感触が心を洗い流すようで、やはり気持ち良かった。

川から上がると近くの森を歩いた。木漏れ日がキラキラと光っている。それに、青々とした葉の囁きが心地いい。ノブオは幸せな気分だった。

しばらく歩いて行くと、不思議なものを見つけた。自然の中に置かれた機械の卵、ノブオにはそう見えた。
それは金属とガラスで作られた大きな卵型の棺桶のようで、ガラス部分が太陽の光を反射してノブオの目を射した。ノブオはそれを避けもせずその物体へと近づいて行った。

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