HEAD/phones~ヘッド・フォン~
「調子はどう?」
目覚めたノブオに女が声をかける。
「…最悪だ」
しかし、心の中のモヤモヤとしたものは、いつの間にか消えていた。
「そうでしょうね」
「あれが…本当の世界、なのか?」
「そう。そして、私の世界」
「でも、なぜ君だけがあんな所に?」
「それは…私が特別だから」
「特別?どういう意味だ?」
「人の強さって、みんな同じだと思う?」
「強さ…?」
「私は他の人より強かっただけ…ただそれだけよ」
「でも、地球はなくなったんだ…」
「地球ならあったでしょ?」
「あれは地球じゃない」
「どうして?」
「だって…」
「緑も水もあるじゃない」
「だって、地球は爆発して粉々に砕け散ってしまったじゃないか」
「人の力」
「え?」
「人の力は…星を、世界を創る事が出来るの」
「そんな事…」
「私には出来たわ」
「君は……」
「だから言ったでしょ。特別だって」
特別な存在。それは本当に世界を創り出せる力を持つのか?それに…人まで…。
人が人を創るなんて、そんな事あり得るのか?…俺は…俺は…真実を知りたい。