HEAD/phones~ヘッド・フォン~

「調子はどう?」

目覚めたノブオに女が声をかける。

「…最悪だ」

しかし、心の中のモヤモヤとしたものは、いつの間にか消えていた。

「そうでしょうね」

「あれが…本当の世界、なのか?」

「そう。そして、私の世界」

「でも、なぜ君だけがあんな所に?」

「それは…私が特別だから」

「特別?どういう意味だ?」

「人の強さって、みんな同じだと思う?」

「強さ…?」

「私は他の人より強かっただけ…ただそれだけよ」

「でも、地球はなくなったんだ…」

「地球ならあったでしょ?」

「あれは地球じゃない」

「どうして?」

「だって…」

「緑も水もあるじゃない」

「だって、地球は爆発して粉々に砕け散ってしまったじゃないか」

「人の力」

「え?」

「人の力は…星を、世界を創る事が出来るの」

「そんな事…」

「私には出来たわ」

「君は……」

「だから言ったでしょ。特別だって」

特別な存在。それは本当に世界を創り出せる力を持つのか?それに…人まで…。
人が人を創るなんて、そんな事あり得るのか?…俺は…俺は…真実を知りたい。
< 86 / 113 >

この作品をシェア

pagetop