HEAD/phones~ヘッド・フォン~

「あなたを生き返らせてあげる」

女は唐突に言った。

「なんだって??」

「復活させてあげるわ」

「…復活」

「そうよ」

女は笑顔を見せる。

「…そんな事…出来るのか?」

「ええ」

「でも俺は…」

ノブオは考えた。今の俺は本当の俺じゃない。彼女の創った世界に生かされているに過ぎない、そういう事なのか?今いる地球は彼女が創ったものなのか?そんな事が……

「…出来るのか?」

ノブオはもう一度聞いた。

「ええ、可能よ。でもね…それには必要なものがあるの」

「何だ?」

「ヘッドフォン」

「ヘッドフォン?」

「そうよ」

「どうしてそんなものが??」

「私が創った世界と私がいる世界、この二つを行き来出来る方法が、ヘッドフォンにあるの」

女の顔は無表情だった。

「これじゃダメなのか?」

ノブオは手に持っているヘッドフォンを見た。

「それはあくまで真実を伝えるだけのもの」

「どこにあるんだ?」

「そう焦らないで。まだ続きがあるの」

そう言うと、女は窓のカーテンを閉めた。

< 87 / 113 >

この作品をシェア

pagetop