HEAD/phones~ヘッド・フォン~
胸が苦しい。空気が足りない。頭が割れるように痛い。寒気もするし吐き気もする。
「ガラガラガラ」
その音で健太郎は目を開けた。
「え…?!」
健太郎は教室の中にいた。
「…どうして??」
周りには机と椅子が綺麗に並べられている。
「なんで??」
教室には誰もいない。健太郎が一人佇んでいると、
「ガラガラガラガラ」
また聞こえてきた引き戸の音。そして、開けられる戸。
「これは…まさか…」
健太郎は開いた戸を見つめていた。そこから現れたのは…。
「今日はどうするかな?」
「俺昨日ヤったし今日はいい」
「じゃあ俺いくよ。いっちゃうよ、マジで」
「やっぱ俺もヤる。なんかムカつくし」
「もういくとこまでいくか?」
「死んじゃったらどうする?」
「いいんじゃね、別に」
「こんな奴、生きてる価値ないし」
健太郎は教室に入ってきた不良グループの姿に固まってしまっていた。全身に力が入らない。
「…うそ…だ。…うそだ」
徐々にに震え出す体。
不良グループは机や椅子を足蹴りにして近づいてくる。健太郎は動く事も出来ずに、ただその光景を見つめていた。