華麗なる人生に暗雲があったりなかったり
第1章
気付きの春
「すごく素敵なんだよ!」
水野は誇らしげに言った。
その横顔を見て。
そいつが、初恋の相手だとすぐにわかった。
少し面白くなかった。
水野小春。
こいつとの出会いは、幸運と取るべきか。
それとも不運と取るべきかわからない。
とりあえず、幸運だと思うことにしている。
水野とは大学入学の際の飲み会の席で知り合った。
やっぱり来なければ良かった。
その鬱陶しさに俺は心底後悔していた。
小さい頃から続けている空手を続けたいとサークルを訪ねてみたが、ここではただの出会いの場らしい。
そんな中、少し離れたところに水野はいた。
特段、印象に残る女ではなかった。
確かに、一般的にはそこそこ可愛いけど。
あくまで、そこそこだ。
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