華麗なる人生に暗雲があったりなかったり




 そんな俺を見て、広也がため息を大きく吐いた。


 わざとらしく。



「……そうか、そこまで嫌か。それなら仕方がない。最終奥義を使うしかないようですよ。お二人さん」



 広也の言葉に、上原と瀬戸は神妙に頷く。


 こちらもわざとらしく。


 嫌な予感がした。


 そして、それが的中することも。



「小春ちゃんに、合コンに行くように俊を説得してもらうしかない」



「きっと広也が泣いて頼めば、『榊田君。お願い。広君のために行ってあげて』って悲痛に叫ぶわね」



 そう言いつつ、上原は携帯を取り出す。



「好きな子に合コン行くように頼まれるなんていう、惨めな経験、榊田君にはして欲しくないわ。……あ、榊田君曰く、元好きな子か!」



「……お前ら。友達を脅すな、って先生に教わらなかったのか?」



 俺が低く、唸ると。


 三人一斉に笑顔で、うん!と大きく頷いた。



「……先生が今頃泣いてるな」



 こうして、俺の一日は昼から幕を開けた。











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