華麗なる人生に暗雲があったりなかったり




「合コン。もう、お前とは関わりたくない」



 仁と水野に振り回されるのはごめんだ。



「ご、合コン!?自棄を起こさないでよ!それに、小春さんのことと私は関係ないでしょ?」



「お前の話はどうせ水野のことだろ?あいつの名前を聞くだけで虫唾が走るな」



 吐き捨てるように言うと、佳苗は眉をひそめた。



「小春さんのこと、いい加減に許してあげてよ。好きなんでしょ?」



「あんな最悪な女を俺が?諦めたとか言いながら、あれだぞ?自分のことしか頭にない身勝手で無神経な馬鹿女」



「俊。お前、ちょっとそれは言い過ぎだぞ。小春ちゃん、泣いちゃうぞ?」



 今まで静観していた広也が俺をたしなめ、二人も大きく首を縦に振った。


 あいつは俺に何を言われたって泣いたりしない。


 あいつが泣くのは仁のことだけ。


 俺にどう思われても構わない、仁以外にどう思われようと。


 そういう考え方しかできない女。



「諦めてるよ。でも未練は残ってるのよ。寛大な心で、ね?」



「俺はあいつの無神経さに寛大だった。だが、あれは軽蔑に値する」



 これまで、あいつの無神経で思わせぶりな言動や行動に俺は我慢していた。


 十分過ぎるほどの我慢を。



「俊君。今のあなたは、ただ拗ねてるだけ。二ヶ月拗ねればもう十分でしょ?」



 佳苗は、これみよがしなため息を吐く。



「睨みつけても怖くないわ。だって俊君は子供だもの。小春さんに振り向いてもらえなくて拗ねてるだけよ。今の俊君、すご~く、格好悪い!!」



 仁王立ちで腰に手を当て偉そうにしたが、やっぱり電車の揺れで、あわわとドアに激突。



「あの、手すりに掴まってください。どうぞ」



 安住が自分の立ち位置を譲ると、佳苗はぺこぺこ恐縮し、手すりに掴まる。



< 177 / 207 >

この作品をシェア

pagetop