華麗なる人生に暗雲があったりなかったり
「合コン。もう、お前とは関わりたくない」
仁と水野に振り回されるのはごめんだ。
「ご、合コン!?自棄を起こさないでよ!それに、小春さんのことと私は関係ないでしょ?」
「お前の話はどうせ水野のことだろ?あいつの名前を聞くだけで虫唾が走るな」
吐き捨てるように言うと、佳苗は眉をひそめた。
「小春さんのこと、いい加減に許してあげてよ。好きなんでしょ?」
「あんな最悪な女を俺が?諦めたとか言いながら、あれだぞ?自分のことしか頭にない身勝手で無神経な馬鹿女」
「俊。お前、ちょっとそれは言い過ぎだぞ。小春ちゃん、泣いちゃうぞ?」
今まで静観していた広也が俺をたしなめ、二人も大きく首を縦に振った。
あいつは俺に何を言われたって泣いたりしない。
あいつが泣くのは仁のことだけ。
俺にどう思われても構わない、仁以外にどう思われようと。
そういう考え方しかできない女。
「諦めてるよ。でも未練は残ってるのよ。寛大な心で、ね?」
「俺はあいつの無神経さに寛大だった。だが、あれは軽蔑に値する」
これまで、あいつの無神経で思わせぶりな言動や行動に俺は我慢していた。
十分過ぎるほどの我慢を。
「俊君。今のあなたは、ただ拗ねてるだけ。二ヶ月拗ねればもう十分でしょ?」
佳苗は、これみよがしなため息を吐く。
「睨みつけても怖くないわ。だって俊君は子供だもの。小春さんに振り向いてもらえなくて拗ねてるだけよ。今の俊君、すご~く、格好悪い!!」
仁王立ちで腰に手を当て偉そうにしたが、やっぱり電車の揺れで、あわわとドアに激突。
「あの、手すりに掴まってください。どうぞ」
安住が自分の立ち位置を譲ると、佳苗はぺこぺこ恐縮し、手すりに掴まる。