華麗なる人生に暗雲があったりなかったり
第一、仁中心主義だからこうなるんだ。
気分転換をすれば、立ち直るだろう。
今までだって、鍋会やら買い物やら、初詣で気分を変えてきたやつだ。
根はかなり単純だ。
今回はショックが大きすぎて、頭がそこまで回らないらしい。
そんな時、上原がスキー旅行の話をした。
棚から牡丹餅だ。
上原に、五人分で申し込ませた。
五人での遠出はしたことがなかったから、快諾を得られた。
今の荒んだ水野に話したところで答えはわかる。
だから水野には言わないよう口止めをした。
広也と上原はニヤニヤして。
「本当に愛してるね~」
と俺をからかった。
これは毎度のことだから無視した。
瀬戸はからかうことはしない。
しかし、
「本当に小春ちゃんには甘いね。高校時代に小春ちゃんがいれば、もっとマシな噂が立ったのに」
と苦笑いした。
この発言を聞いた上原が食いついた。
いや、噛みついたと言っても過言はない。
瀬戸はペラペラ話した。
この裏切りには驚いた。
同郷で姉貴と同じ高校であった瀬戸は俺の噂を聞いているのは予想が付いたが、そういうことを言いふらすようなやつではないのに。
まさか瀬戸が?
美玖と姉貴の再来だ。