華麗なる人生に暗雲があったりなかったり
次の日には一足先に帰ろうかと思ったが、この件で気が変わった。
水野と一緒に厄介になることを決めた。
おばさんと水野は元よりそのつもりだったし、おじさんの意見など誰も聞いていない。
水野家はおばさんを頂点にヒエラルキーが形成されているから。
数日過ごせば愛想の良く振舞うのも疲れ、いつも通りに振舞った。
自分の家のように寛いだ。
おいしいものを食べ、本を読んで、昼寝をして。
もう満喫していた。
加えて、数日水野といられるというおまけつきだ。
仁のことを諦めていない水野といたところで何の進展もないのはわかっていたが、ぐだぐだ二人で話していられるのは役得だと思う。
そんな天下泰平は雪が降っている間だけだった。
雪が弱まった頃、爆弾は投下された。
特大の爆弾が。
明日の夕方、仁が来るとおばさんは突然のたもうった。
その話を聞いても、とりあえずみかんを食べ続けていた俺はこたつへ一人取り残された。
水野は真っ青になり居間を飛び出し、おばさんは、夕食の準備しないと、と浮かれて台所へ。
とりあえず、小さく息を吐いてから立ち上がり台所にいるおばさんのところへ。
「どういうことですか?」
「そのままの意味よ。何が聞きたいの?」
冷蔵庫を物色して、こっちを見ようともしない。