俺が虜にしてやるよ。
「はぁ、はぁ・・・」

私は、なんとか教室にたどり着いた。


机の上は、案の定落書きだらけ。

『ノア様に近づくな』
『男ったらしのクソ女』

表情が固まった私を見て、クラスの女子の中で笑いが起きた。

嫌な表情をする人も少なからずいたが、目立った子達の前に何も言えないようだった。

(まあ、それも仕方ないよね・・・)

私は、ため息をつきつつ席につき、落書きを消し始めた。

数分後、廊下で爆発的な騒ぎがおこった。

「ノア様ーーーーーーっっ!!!」
「今日も素敵です!!!」
「こっち向いてください!!!ぁぁぁっステキっ!!!」

・・・ノアだ。

ガラッとドアを開け放ったノアは、何も言わず席についた。

「マリア。おい、マリア。」

「へ??」

やばい、ぼーっとする・・・。何も聞こえてなかった・・・。

「お前・・・聞いてるのか?」

「へ!あ、ごめん!ぼーっとしてた~」

へへへと誤魔化し笑いをする私を、訝しげな顔で見つめるノア。

「それだけならいいが・・・。おい、その消しカスなんだよ」

「あ~。消しカス?なんだろうね~」

「なんだ・・・?その落書き」

ゲッ・・・!!!見られた!?

「男ったらしの・・・クソ女??」

うっ・・・。

ガタン、と椅子をけって立ち上がったノア。

クラス中が、静まり返った。

「これ書いたヤツ、出てこい」

有無を言わせない迫力だった。

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