俺が虜にしてやるよ。
~花恋side~

わたくしと同じクラスになった聖さん・・・。

何だか最近様子が変ですわ。   

ノア・アンブロワーズと同じリムジンに乗っていた、という事は、相当のお嬢様ですの。

聖、ときましたら、聖財閥が思い浮かびますけど・・・。

彼女はそんな事一切口にしませんわ。

一体何者なのでしょう・・・。


わたくしは、聖さんの謎について思いを馳せながら、お手洗いに向かっておりましたの。

そんな時、  

「何か言えよ!!!」
 
同じクラスの女の子の叫び声と、バシッという誰かを殴る音。
そして、誰かが倒れる音がしましたの。

「ちょっと!何やってるんですの!?」

わたくしは、必死になって飛び込みましたの。

そこには、頬を腫らして倒れていらっしゃる聖さんと、彼女を取り囲む数人の女の子たちがいらっしゃいました。

「げ、西園寺じゃん」
「早くずらかろうぜ」

女の子たちは行ってしまいました・・・。

わたくしは、慌てて聖さんにかけよりました。

聖さんは、凄い高熱でしたの・・・。

わたくしが必死に呼びかけていますと、聖さんがうっすらと気づかれました。

「さい・・・おんじさん」  

それだけ言うと、彼女は意識を失ってしまいましたの・・・。

そして、うわ言の様に、
「ノアにだけは、言わないで」  
とつぶやきました。


わたくしは、慌てて彼女を抱きかかえ、保健室へ向かおうとしましたが・・・。

わたくしの運動不足がこんなところで祟るとは・・・

聖さんは全身びしょ濡れで、早くしないと熱が上がってしまいますの。 怪我の手当もしなければいけないのに・・・・


途方に暮れていると、

「おい」

後ろから、ドスの効いた声がしましたの。

ノア・アンブロワーズ・・・。

聖さん、ごめんなさいですの!

貴方の頼み、聞いてさし上げることができませんでした・・・・。


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