ピュア・ラブ
ひきよせ・愛
1
桜の花は散り、大嫌いな毛虫が、桜の木に住みつき始めた。私は回り道をして職場に行く。
モモは、ベランダに飛んでくる虫を捕まえ私に見せる。
ぞっとするような虫だ。思わず、悲鳴が出る。
「モモ、ハンディングはもうやめて」
前足を持ち、立たせてそうお願いしても、モモは一向に止めない。負けたのは私の方だった。カメムシをよく捕まえるが、とうとう掴めるようになった。
そんな時、新聞と広告以外で手紙など送られてこないポストに一枚のはがきが入っていた。
しろくまの絵葉書だった。
「誰かしら?」
通信面をみると、そこにあった名前は橘君だった。
私は、動悸が激しくなるのが分かった。
震える手で持ち、読み始めた。
『僕は君に謝らなければいけないことがある。君の声が聞きたい、いつでも笑顔でいてほしい、そう思っていたのに、一番に泣かせてしまった』
文面はそこで終わっていた。
橘君の名前はあったけれど、差出人住所は書かれていなかった。橘君はきっと返事をしなくていいという、無言のメッセージをしてくれたのだろう。私にはわかる。
でも、変な区切りで終っていて、どう解釈をしていいのか、はがきを前に私は何日も迷った。まるで、推理をしているかのようだ。
その答えは、翌月になると分かった。
またはがきが投函されていたのだ。今度は、クマのはがきだった。
『本当にごめん』
それだけだった。
もしかして、何か考えがあってこういうことをしているのかもしれない。病院に行って橘君に会えば済むことだったけれど、近くにいながらもはがきを出しているのだから、何かあるのだろう。
翌月は、ライオンのはがきだった。
『前に話していたと思うけど、今、俺は動物園の獣医をしている。もちろん、バイト扱いだけどね。きつきつの生活だけど、毎日動物と向き合っている』
モモは、ベランダに飛んでくる虫を捕まえ私に見せる。
ぞっとするような虫だ。思わず、悲鳴が出る。
「モモ、ハンディングはもうやめて」
前足を持ち、立たせてそうお願いしても、モモは一向に止めない。負けたのは私の方だった。カメムシをよく捕まえるが、とうとう掴めるようになった。
そんな時、新聞と広告以外で手紙など送られてこないポストに一枚のはがきが入っていた。
しろくまの絵葉書だった。
「誰かしら?」
通信面をみると、そこにあった名前は橘君だった。
私は、動悸が激しくなるのが分かった。
震える手で持ち、読み始めた。
『僕は君に謝らなければいけないことがある。君の声が聞きたい、いつでも笑顔でいてほしい、そう思っていたのに、一番に泣かせてしまった』
文面はそこで終わっていた。
橘君の名前はあったけれど、差出人住所は書かれていなかった。橘君はきっと返事をしなくていいという、無言のメッセージをしてくれたのだろう。私にはわかる。
でも、変な区切りで終っていて、どう解釈をしていいのか、はがきを前に私は何日も迷った。まるで、推理をしているかのようだ。
その答えは、翌月になると分かった。
またはがきが投函されていたのだ。今度は、クマのはがきだった。
『本当にごめん』
それだけだった。
もしかして、何か考えがあってこういうことをしているのかもしれない。病院に行って橘君に会えば済むことだったけれど、近くにいながらもはがきを出しているのだから、何かあるのだろう。
翌月は、ライオンのはがきだった。
『前に話していたと思うけど、今、俺は動物園の獣医をしている。もちろん、バイト扱いだけどね。きつきつの生活だけど、毎日動物と向き合っている』