∞1208∞
ふわりと手首に触れただけでわかる。
細くて冷たい指。


お昼に漂う柔らかなパイナップルじゃない、
もっと憂鬱で、夜の甘美な香。

時折、朝あたしの事をただぎゅうっとするだけに立ち寄る時の
甘美でメランコリックな香り。


「どこ行くつもりですか」


少しきつく捕らえるその指は
あたしを一瞬で腰砕けにさせる。
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