∞1208∞
「ちゃんと話してください。」

柔らかな言葉遣いと裏腹に
腕に食い込む力が痛い。

「…」

ワカレロ

忌ま忌ましい言葉が頭を駆け巡り
写真に写ったトモの笑顔を手繰り寄せる。

異質で、狂気じみている。
ただのイタズラなんかじゃない。
頭の中では何かが重く冷たいベールであたしを覆いかぶそうと追い迫ってくる。


「なんも話ない」

食い込んだ細い指から身を引き離したが
痛んだのは、腕なんかじゃなくてあたしは又、泣きたくなる。
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