あかとくろの間
これしかない。

手段は1つ。


「輝。あたしを綺麗な人間と見ないで。
 …あたしは汚い人間だから」
「何言ってんの。千波は綺─「行きます。今晩」


客は満足気な顔で手招きした。


「千波!!俺ずっとここで待ってるからな!!」


待ってくれるのはいつも輝だね。

大好きだよ。

この気持ちは多分一生──。


「千夏ちゃん、彼を守ったね??」
「…なんでですか?」
「断ったら俺があの少年を潰すからだろ?」
「…何ご冗談を。今晩はサービスです」


はは、冗談?違う、本気。


─────────────────────

地元に戻ったのは夜中の2時。

疲れ果てたあたし。

体も 心も 


「…輝ぅ…輝…」


恐かった。

アイツの顔つきが何よりも。

恐くて恐くて逃げたくて。

輝の元へ行きたくて。

でもいけない。

だから、名前を呼ぶしかなかった。


他の男と体を重ねた時


頭に響いた。


彼の声が。

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