香りから始まる恋はいかがですか?
『好き』という言葉と
ぎこちないキス。
俺は、
完全に落ちてしまった。
『好き・・・』
今まで何度か、
聞いてきた言葉が
これほどまでに
体にじわーっと
染み込んできたことはない。
『好き』が俺の体中に
浸透していくと同時に
唇に感じた柔らかい感触。
お互いの歯が
当たってしまったことなんて
全く問題じゃない。
嬉しくて涙が出そうだ・・・
俺は、何か言葉を
発したいのに出てこない。
彼女は
キスして歯が当たったことに
申し訳無さそうにしているのに、
何か・・・
なにか言わなきゃ。
「夏、俺、今・・・」
「わたしの告白、
失敗しちゃいました?」
「そうじゃない・・・
こんなに早く夏から気持ちを
もらえると思ってなかったから
その・・・嬉しくて・・・。
泣きそうなんだけど」
と言うと
「えっ?」と彼女は言い
びっくりし、右手でゆっくり
俺の頭をなでてくれた。