香りから始まる恋はいかがですか?
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智史さんの帰りも
遅くなると言われた日、
ついにわたしは、
衝撃的な光景を
目の当たりにしたのです。
その日、わたしは遅番で
20時過ぎまで
『マーガレット』にいて
仕事をしていました。
閉店時間も過ぎ、
明日の用意をして
店を閉めたとき、
道の反対側を歩く
一組の男女が
目に飛び込んできました。
男性の方は、智史さんでした。
そのとなりには
長い髪の毛をなびかせ、
ハイヒールを履きこなした
きれいな女性が
当たり前のように
彼と腕を絡ませ
颯爽と歩いていました。
わたしは、
その女性を見たとき
咄嗟に思い出したのです、
あの香りの持ち主だ、と。