香りから始まる恋はいかがですか?
『惚れたの?』の一言に
わたしは、
顔から火が出そうな程、
カーっと恥ずかしくなり
思わず、場もわきまえずに
「はっ、ハレンチー!」
叫んでしまい、
ラブさんが慌てて、
わたしの口を右手で塞ぎました。
乗り合わせていた
乗客のみなさんからは
冷たい視線を浴びつつ
ようやく電車を降りると
ラブさんは
わたしの口を塞いでいた手を
外してくれて・・・
「おい!ポチ、お前、あの場で
ハレンチって、いつの時代の人だよ」
と、
少々呆れぎみに叱られ、
『ポチ』も気になりましたが、
また彼に迷惑をかけてしまい
「昨日に引き続き・・
たびたびのご無礼を
どうか・・お許しください」
と深々と頭を下げ
改札に向かおうとすると
また二の腕を掴まれ
「本当に悪いと思ってんなら、
今夜、俺に付き合え」
と申され
「えっとー
どちらにでしょうか?」
と聞くと
「飯」と不機嫌そうに一言。
そして
「19時にここ」と改札を
指差され
「わかりました」と
わたしは、連日、彼に無礼を
働いたにも関わらず
なぜ『飯』に誘われたのか、
皆目検討もつかず、
しぶしぶ承諾した次第でございます。