香りから始まる恋はいかがですか?

2週間ほど前、
会社の飲み会とラインがあり
木村の帰りが遅かったらしい。

すると
日付をまたいで帰宅後、
アイツから
女性の香水の香りがして、

それから3日に1度ペースで
アイツの帰りは、遅くなり、
土曜日も出かけていったと。

そうして遅くなったり、
出かけた帰りは
いつも同じ女性の香りがしたと。

で、今日、ついにアイツが
女性とキスをしている現場を
見てしまった。

文字にすると簡潔だが、
彼女は、うつむき加減で
無表情のまま語るんだ。

さっきと同じように
自分には、関係がないような
素振りで。

するとそれを
聞いていた紗智の方が涙を流し、
なっちゃんを抱き締めていた。

アイツの様子は少し前から
おかしいと気づいていたが、
俺は、どうしてもアイツを
疑うことができなかった。

が、アイツは確実に
なっちゃんに嘘をついている。

最初から、
会社の飲み会なんて
存在していない。

俺たちの職場は、
年末・年始のみの
飲み会しか開催されていない。

何か理由があるにしろ
嘘をつくだけ、
やましいことがある、

と踏んだ俺は、
紗智に了承を得て
アイツにラインをいれた。
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