香りから始まる恋はいかがですか?
俺は慌てて
夏にラインを入れる。
『いま、どこにいる?』
『なにしてる?』
『迎えに行こうか?』
とにかく思いついた言葉を
次から次へと打っていくも、
一向に既読はつかない。
探しに行こうにも
彼女の行動範囲を
俺は把握していない。
さっちゃんの
連絡先は知らないし、
途方にくれていると
安藤から
『なっちゃんを預かっている』と
いう内容のラインが来た。
これで
ようやく気がついた。
夏は、
気がついていたんだ・・・
俺が他の女と会っていたことを。
正直、
どこまで知っているのか、
わからない。
でも彼女は確実に知っている。
そしてそれをたぶん
安藤にも話をしている。
だから安藤は、
俺が迎えにこないなら、
夏に誰か紹介して、
彼女を幸せにしてもらう
とまで伝えてきた。