香りから始まる恋はいかがですか?
俺は、
結局一睡もできないまま
朝を迎えた。
スマホを確認するも
夏からは連絡もラインもなく、
代わりに奴からのラインが
来ていて、うんざりした。
早めの電車に乗り、
朝一で直属の上司の
長谷川部長のところへ行き
「今夜、お時間を作って
いただけないでしょうか?」
と申し出ると
「おう、なんかあったか?
って、木村、体調悪そうだが
無理すんなよ?」
といわれ
「大丈夫です。
では今夜お願いいたします」
と伝え自席に戻ると
ちょうど
安藤が出勤してきて
「おはよ」
とだけ挨拶を交わした。
俺は、安藤に聞きたいことが
山ほどあったが、
アイツは
『俺から話すことは、ない』と
いった表情で遮断してきたので
それ以上はなにも言えなかった。