香りから始まる恋はいかがですか?

俺の前に座った夏は
少しうつむき加減で、
俺をみようとせず、

視線はテーブルの上に
落としたまま、肩に少し力が
入っているようだった。

すると安藤は

「なっちゃん、
肩の力抜いたほうが良いよ?

これじゃあ、まるで
なっちゃんが悪いことして
怒られる方みたいだよ?」

と言い少し場を和ませた。

夏は少し肩の力を抜き
真っ先に口を開いた。
「あの・・・木村さん・・?」

と俯きながら
俺の名前を読んだ。

いや、名前じゃない苗字だ。

安藤が言っていたことは
本当だったんだ、

と思い知らされる。

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