香りから始まる恋はいかがですか?
俺は、親子丼を一口、
口に運ぶと胸が一杯になり、
口に入れたものを飲み込むのを
忘れてしまうほど、胸が苦しくなり、
自然と涙がこぼれてきた。
すると夏はビックリして
「智史?どうしたの?
・・・泣いてる・・・よ?」
と心配そうに声をかけてきた。
俺は、ようやく飲み込み
「なんか・・・さ。
・・・良かった。
夏が戻ってきてくれて・・
良かった・・・。
こんな幸せを手放さなくて
ほんとよかった・・」
と言いながら食べた。
たぶん俺は、この親子丼の味は
一生忘れられないだろう。