香りから始まる恋はいかがですか?


いまの出来事で、
あなたとの約束を
すっぽり忘れておりました、

とは伝えられず、
うつ向くと

先ほどとは一変した声色で

「ごめんなさい、
俺、かなり遅れたよな?

もう居ないかと焦ったよ」と

丁寧に頭を下げ、
謝られてしまいました。

ラブさん、
その姿もまた素敵ですよ、

とは言わず

「あのーえとー。
顔あげてください。

えっと・・わたし、

本日はあなた様に
なんの『飯』を
ご馳走すればいいのでしょうか・・

わたし、
こんなカッコですから、
高級なんちゃらってのは、

できれば避けて
いただきたいのですが・・」

と恐る恐る聞くと

ラブラドールさんは
思いっきりお腹を抱えて笑いだし、
ようやく落ちついたところで

「いやいや、俺、奢れなんて
言ってないよな?

ただ、ポチに興味あったから
誘ったんだ。あぁ、腹いてー

久しぶりに笑いすぎた」

と。

そりゃー

駅構内で大声で、
笑われましたが、

高級なんちゃらは、免れて
内心安心しましたよ。

そのまま首輪ならぬ
今度は、
手をムギュと掴まれまして、
電車に乗り、

ラブさんの最寄り駅に
到着しました。





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