香りから始まる恋はいかがですか?
一歩、足を踏み入れ、
辺りを見回す、
すると見覚えのある
髪型をした女性。
あれ・・・絶対、夏だ。
ちっこい背丈と、
挙動不審な動き。
俺は、
彼女を見失わないように
電車の揺れに合わせて
彼女の腕を引っ張り、
俺の目の前に立たせた。
引っ張り出したのはいいが、
彼女との密着度が半端ない。
ヤバイ、
思った以上の緊張感。
思わず声をかけ、
相変わらず、
おかしな返答する夏。
だよな、彼女からしたら、
俺に探されてたのも
全く知らないわけで
って、
おい!
そんな目で俺を見るな!
夏、違う、
そういう意味じゃない!
コイツにはいちいち
説明しなきゃ伝わらなそうだ。
おいおい、
この密着度で、俺を煽るなよー。
彼女に
男の事情を知られたくなくて、
俺は、少し腰を引き、
たまらず彼女の手の甲に
キスをした。
しょーがないだろ?
煽られたんだ、
おい、となりのおっさん、
こっち見るなよ!
そして、夏!
顔を真っ赤にして照れるな。
だからそんな目で
朝から見るなって。