香りから始まる恋はいかがですか?

すると
今度は優しい声で彼は

「ごめんね、
強い言い方して。

俺が夏を好きになったのは、
化粧してる夏だからじゃない。

あの電車の中で、
俺の匂いを探し当てて
ニコニコしてた、夏だよ。

着飾らなくても、
夏が好きなんだ。

だから
俺と付き合ってほしい。

傍にいて、
笑っていてほしい

俺ね、いままで女性と
ズルいつきあい方しか
してこなかったんだ。

相手に告白されて、
なにもかも流されたまま、

自分の気持ちは、
お構いなしに付き合ってきた。

でも、夏に対しては、
どうしても
自分から欲しくなった。

だから、32年間で
初めて勇気を出して告白してみた」


と言われて

わたし、
ちゃんと気づいたんです。

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