香りから始まる恋はいかがですか?
すると
夏は俺の方に少し体を傾け
鼻をクンクンさせて
「同じ匂いがしますね」と言う。
「そうだな、同じシャンプー
だったもんな・・・」
「そうですよね・・
これって、幸せ、ですね」
「幸せ?」
「はい、わたし、
どんな小さなことでも、
良いことがあると
『幸せだ』って
思うようにしているんです」
「そうなんだ・・・
ある意味、前向き?」
「そうですね」
「でも、俺の告白は
やんわり断ろうとしたよな?」
「そうですね・・・」
「なんで?」
「わたし、智史さんから
告白された時点で、
もう『幸せ』の頂上だと
思っちゃったんです。
だから・・
それ以上の『幸せ』を
手に入れて良いのかな・・・
って、ちょっと
怖くなっちゃいました」
と夏は言う。
そんな彼女が愛おしくて
彼女の肩を抱き寄せて
「いいんだよ、夏。
もっと欲張りになって良いんだ。
だから・・・俺と一緒に、
たくさんの『幸せ』を
見つけていこうよ」と言い
彼女の唇にキスをした。