地味な私じゃだめですか?
タイトル未編集

地味子の楓心


 『お前、ほんと地味だよな!』
 『楓心、地味すぎ!アハハ!』

 『楓心は、地味じゃない!』

 私は、お姉ちゃんの櫻子とは真逆のいわゆる「地味子」だった。今もだけどね。
 櫻子姉ちゃんは友達もいっぱいいて、明るくて、クラスのムードメーカ的存在。
 私は、影でお絵かきしてるような、空気みたいな存在。
 そんな私と一緒にいてくれて、からかわれたときには庇ってくれた、幼なじみの碧。家も隣同士だったから、仲良くなった。
 碧は女子からの人気があったみたいで、私はよく嫉妬された。
 でも、そんなことは気にしない。碧は、私の”大切”な存在だから。
 そんな私は、もう、高校1年生。大好きな絵の描ける美術部に入部した。
 「美術部は地味」なんて言われてるけど、そんなことは気にしない!
 大好きな絵が描けるからね。
 そんな碧はバスケ部に入部。小学校の頃からしていたもんね。
 高校に入ってから、碧はますます女の子から人気になった。
 

 「ふーうーこっ!」
 「わっ!?」
 「なにぼーっとしてんの?」
 昼休み、屋上から校庭でふざけてる碧を見ていたら、櫻子姉ちゃんに話しかけられた。
 相変わらず、櫻子姉ちゃんは美人だなぁ...。
 「ちょっと、考え事してただけ。」
 「また碧のことみてたの?」
 「...へっ?」
 『また』って何だろう...。私、いっつも碧のこと見てたかなぁ?
 「へっ...?じゃないよー。楓心は碧のこと、最近ずっとみてるよ?」
 「そ、そうかなぁ?たまたまじゃない?」
 そんな話をしているうちに、碧と目が合った。
 「ふうこーーーー!!!!」
 大声で碧が呼んできて、びっくり。
 私は少し、微笑んで手を振る。
 「よかったじゃん。気づいてもらえて。」
 「そ、そんなんじゃ...!」
 「ま、頑張りなよ!敵は多いからね。じゃ、行くね!」
 「えっ...あ....。うん。じゃあね。」
 そんなんじゃ、ないのになぁ。
 碧はただ、大切な存在ってだけで...。ん...?
 ”大切”って、どういうことなんだろう...?
 碧は私にとって...どんな”大切”なの?
 
 そう、思うようになっていった。
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