あの時の恋にはさよならを、目の前の恋にはありったけの愛を。

「違うよ。敦くんが変なこと言ったから見られてるんだよ。ほら、みんな敦くんを見てる」

「ええ、そう?」


横目でちらりと周りを見た。すると、不思議なことに本当に俺だけに視線が集まっているような気がした。

これは〝気がしている〟だけなのか、もしくは本当に〝俺だけ〟に視線が集まっているのか。

そんなことは分からないけれど、もしそうだとするなら、間違いなく俺の発言のせいだ。


「……ごめん。変なこと言って」


実は、ハルはずっと生きていたのかもしれないな。ただの俺の思い込みで、死んでなんていなかったのかもしれない。

俺は、そんなことを思い始めた。


「ううん。それより、敦くん、なんだか変わったね」

「そうかな」

「うん。変わったよ。雰囲気が少し丸くなった気がするし、それに、さっきみたいに面白いこと言うようになったしね」


ハルが悪戯に笑う。


「もうそれは忘れてよ」

「あはは」


最初こそ違和感ばかりだったハルの存在も、もはや完全に馴染んでいた。

……ハルが四年前に死んだなんて、ただの俺の記憶違いだったんじゃないか?

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