あの時の恋にはさよならを、目の前の恋にはありったけの愛を。
「あ……はい!ハルといいます」
頰を赤らめて頷いた目の前の彼女。
ここで俺はさっきまでの不思議な感覚と、どうして彼女と会ったことがあるように感じたのかが分かった。
───三年前に消えてしまった彼女、ハルに似ている。
髪型も、顔立ちも違う。だけど、何かが似ている気がしていた。
前世とか、来世とか、そういうものは信じるガラじゃなかった。
幽霊だとか、未確認生物だとか、そういうものも信じたことなんてなかった。
そんな俺が、この子はハルの生まれ変わりなんじゃないかと思った。
「………うん。いいよ、付き合おう」
彼女といれば、自分は……自分のこの気持ちは、報われると思った。
彼女といれば、ハルのことを忘れずにずっと好きでいられると思った。
天国にいるであろうハルに、これで安心してもらえるだろう。と、そう思った。
…………俺は、彼女を利用した。