あの時の恋にはさよならを、目の前の恋にはありったけの愛を。
翌日、ハルからメッセージが来た。
《あっくん、昨日はごめんなさい。でも、どうしてもデートしたかったの。だから、勉強会にしよう? それならいいかな?》
こんなメッセージとともに送られてきた、泣いているクマのスタンプ。
「はあ……仕方ないな」
これも断ると次に会った時に泣きじゃくられてしまいそうだし、それに、進級もして欲しい。だから俺は、ハルに《いいよ》とだけ返した。
すると、ハルは見るからにご機嫌そうな返事とスタンプを返してきた。
それからはいつもの調子。多すぎるくらいの定期的なメッセージに、会った時のハグ。それから、笑顔。
そんな、いつも通りのハルと勉強をする事になった土曜日───。
「……ハル。こら」
「あ……ご、ごめんなさい」
向かい側でシャープペンを持ち、ただノートを見つめてぼうっとしていたハル。そんな彼女の額を人差し指で突いた。
すると、彼女は突かれた額を両手でおさえて眉を八の字に下げる。
……何かあるな。直感的にそう思った。
だって、さっきから何を教えてもぼうっとしてる。何か他の事を考えているかのような感じだ。