あの時の恋にはさよならを、目の前の恋にはありったけの愛を。

ハルは、俺から離れない。ハルは、戻ってくる。……そう心の奥で安心してたんだろうな。本当、自惚れもいいとこだ。


「敦くん……」

「そんなことより、ハル、ストレートティーで良かったの?」


眉尻を下げ、切なそうな顔をしたハルの手元にあるストレートティーのカップ。

早く話題を変えたかったのもそうだけど、単純にさっきから気になっていた。

確か、ハルはストレートティーは飲めなかったはずなのに。


「え? だって、私がストレートティーでって頼んだんだよ?」

「いや、そうだけど、いつもミルクティーじゃないと嫌だって言ってたじゃん」

「えー? そんなこと言ってたー? 絶対言ってないよー」


くすくすと笑って、ストレートティーを口に運んだハル。


「そうだっけ……」

「そうだよー、もう。敦くん、疲れてるんじゃない? それよりそれより、敦くん、外出ようよ!私行きたいところがあるの!」

「ええ、寒いから嫌だ」


大体、ここへ連れてきたのはハルじゃないか。

< 22 / 62 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop