あの時の恋にはさよならを、目の前の恋にはありったけの愛を。
ハルは、俺から離れない。ハルは、戻ってくる。……そう心の奥で安心してたんだろうな。本当、自惚れもいいとこだ。
「敦くん……」
「そんなことより、ハル、ストレートティーで良かったの?」
眉尻を下げ、切なそうな顔をしたハルの手元にあるストレートティーのカップ。
早く話題を変えたかったのもそうだけど、単純にさっきから気になっていた。
確か、ハルはストレートティーは飲めなかったはずなのに。
「え? だって、私がストレートティーでって頼んだんだよ?」
「いや、そうだけど、いつもミルクティーじゃないと嫌だって言ってたじゃん」
「えー? そんなこと言ってたー? 絶対言ってないよー」
くすくすと笑って、ストレートティーを口に運んだハル。
「そうだっけ……」
「そうだよー、もう。敦くん、疲れてるんじゃない? それよりそれより、敦くん、外出ようよ!私行きたいところがあるの!」
「ええ、寒いから嫌だ」
大体、ここへ連れてきたのはハルじゃないか。