あの時の恋にはさよならを、目の前の恋にはありったけの愛を。

「ええー、けちー。まぁ、外に出られるからいいよ!家は諦める!」

口先を尖らせ、あからさまに不満そうな表情をするハル。だけど、本当はそれほど不満にも思っていないだろうし、怒ってもいないだろう。

自由だけど、サッパリした性格で聞き分けの良いところも昔のままだなぁ。

デートの誘いやお願いごとを断るたび、子供みたいに駄々をこねるあのハルとはまるで正反対だ。


「どこ行くの?」


店を出て、一歩先を歩くハルに尋ねた。

するとハルは笑顔で俺の方を振り向き、立ち止まる。


「ショッピングだよ!」


ハルが、人差し指で向かいのデパートを指差した。


「……え、今から? あそこで?」


おいおい、ちょっと待てよ。今日はクリスマスイブだよな? 恋人たちで溢れかえるクリスマスイブにショッピング?

あのデパートには、アパレル系のショップか食料品とかお土産売り場くらいしかないはず。そんな所で……しかも、このクリスマスイブに一体何を買うつもりなんだ……。

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