あの時の恋にはさよならを、目の前の恋にはありったけの愛を。
顔下あたりにその二つのスカートを並べて、まだかまだかと俺の返事を待っているハル。
あまりにも真っ直ぐ向けられる期待の目に、残念ながら俺はうまく答えられる自信はない。一体、どう答えるのが正解なのか……。
「……どっちでもいいと思う」
多分、これが正解かな。うん。多分、これでいいだろう。
「もう!なにその答え!0点!」
……あ、ハズレか。
自分なりに考えてみた答えは、どうやらハズレだったらしい。あまり深く考えてみたわけではないけれど、ちょっと納得いかないな。
「なんで? どっちも似合うよって意味だったのに」
「分かってないなぁ、敦くんは。どっちでもいいとか、そういうのは一番ダメな答えだよ」
「それなら、どうしたらよかったの?」
「ちゃんと、敦くんが選ぶ事が大事なの。分かる? 敦くんにどっちが似合うかを考えて欲しいの」
人差し指を立てて何度も頷くハル。ハルの言ってる事は分かるけれど、正直なところ異論しかない。