あの時の恋にはさよならを、目の前の恋にはありったけの愛を。
私のこと好き?
────2011年2月19日。
「敦くん、一緒に帰ろう」
「あ、うん。ちょっと待って」
紺色のブレザーに身を包んだハルが、俺の席までやって来た。
同じ高校の同じクラスに在籍していた俺とハル。高校一年生の時から、三年生の今現在まで恋人として過ごしてきた。そして、学校帰りはこうして一緒に帰るのが日課だ。
「あ!敦!俺も一緒に帰っていいー?」
準備を済ませ、教室を出ようとしたところを後ろから誰かに呼び止められた。
振り向くと、そこにいたのは友人である日比野智(ひびのさとし)。
「あー…うん。いい? ハル」
「うん!いいよ」
ハルに確認を取る。すると、ハルは笑顔で頷いた。
「やりーっ!ありがとよ!ちょい待ち」
「ちょっと、智!私と一緒に帰れないからって小池カップル邪魔すんじゃないわよ!一人で帰りなさい!」
突然、割り込んで入ってきたのは智の彼女。俺の名字をとり〝小池カップル〟と称されているが、俺とハルはもはや呼び慣れたコンビ名。