あの時の恋にはさよならを、目の前の恋にはありったけの愛を。
「は、ハル……!足……足が……」
ふと、足元を見た。すると、ハルの足が若干透けていた。
気のせいかと思い、何度も瞼をこすったけれど、間違いなく透けている。
「あ……そろそろ消えちゃうな。もう、タイムリミット……だね」
「タイムリミット……?」
なんだ、それ。
まさか、また消えるのか?
四年前の記憶が、また鮮明に蘇る。大切なものを失う時の辛さは、もう知っている。
今を生きるハルも俺から離れてしまって、また出会えた彼女もまた俺から離れていくのかと思うと、怖かった。怖くて仕方がなくなった。
「はは、敦くん。大丈夫だよ。もう敦くんは大丈夫だから」
「何が……何が、大丈夫なんだよ。また勝手に消えるのかよ」
「私ね。ずっと後悔してたの。敦くんは優しいから、私のことを思って次に進めないんじゃないかって。私が邪魔で、幸せから背を向けていないかなって。……だからね、私のことはもういいよって。私のことは気にしないで、って。そう伝えたかったんだけど……もう、多分、その必要は無いね」