あの時の恋にはさよならを、目の前の恋にはありったけの愛を。
「やっぱり、私はあっくんがいないと嫌だ。もし、あっくんが他の人の事が好きでも、私はあっくんじゃないと……ひゃっ⁉︎」
瞳に沢山の涙を浮かべて、もうあと数秒もすれば泣き出しそうな春を両手でまた抱き締めた。
腕の中で、固まっている春。そんな春の胸の鼓動が伝わってくる。
────ドクン、ドクン
俺の心臓も、同じように跳ねてる。
こんなに緊張しているのは、いつぶりだろうか。
「ねえ……俺が好きなのは、春だよ」
「え……あっくん……?」
「俺は、ここにいる……ここで、息をしている早川春(はやかわはる)が好きなんだよ」