あの時の恋にはさよならを、目の前の恋にはありったけの愛を。

「うん。見てた。綺麗だなぁと思って」


ぷくぷくと頬を膨らませて怒っている春。そんな春をもっと怒らせてしまいそうな事を言って、俺は少し笑った。


「もう!結局あっくんは綺麗な人が好きなんだ!知らない!」

「はは、そりゃあ、綺麗な人は好きだよ。男はみんなそうでしょ」

「もう!ばかばか!」


ふん、とそっぽを向いた春は、やはりさっきよりも更に怒っている様子だ。

だけど、俺はそんな春の機嫌の直し方を知っている。



「……だけど、俺は春を選んだ」



そうだろ? と言って笑うと、春は嬉しそうに笑って、瞳に涙を浮かべる。


「うう、もう……明日目腫れたらあっくんのせいだからねっ……!」

「はは、明日の結婚式の写真、一緒に見返す度に笑うことになるね」

「もう!やだ!あっくんのバカ!」

「そんなバカを選んだのは誰ですか」

「うう……残念ながら、私です!」

「正解。あー。ねえ、春。明日、凄く楽しみだね」

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