あの時の恋にはさよならを、目の前の恋にはありったけの愛を。

明日は、春の誕生日。

そして、俺たちの結婚式。


「うん、楽しみ……!もう、バカだけど……怒ってたけど……やっぱり、好き!あっくん、好き好き!好きー!」


何度も、何度も。『好き』を繰り返し、強く抱きしめてくるハル。

大袈裟かもしれないけれど、この素直なハルは、世界一愛情表現が上手いのではないかと感じる。

それは、本当に羨ましいくらいで。

きっと、ハルは後悔することなく愛する相手を最後まで大事にできるのだろう。


……今は、その相手が最後の最後まで、俺ならいいと、そう思う。



「うん。俺も、同じ」


「えっ……⁉︎」



俺は、キミほど愛情表現はうまくないけれど。


でも、それでも自分なりに愛を伝える努力をしていこうと思う。

自分なりに、キミのことをうまく愛していこうと思う。




今、この一瞬、一瞬。


〝今〟という時を生きるキミへ






「……春、愛してるよ。」








ありったけの愛を

捧いで生きていくんだ──────。





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