婚約者は高校生



駅からほど近い都内の一等地に立つ見上げるほど高いビル。

株式会社エージェント。

名前だけ聞いたらスパイのように感じるが、そうではなくれっきとした会社だ。

主に扱っているのは女性向けダイエット食品や、サプリメント。

その会社を設立し、大きくしたのが会長である祖父、そして現社長は父親。
そしてそこで働く俺、多賀亮介(タガ リョウスケ)。


いずれは会社を継ぐ身である俺に見合い話なんて、今までたくさんあった。

俺は自分で言うのもなんだが、そこそこ顔はいいほうだと思うし、わりとなんでもそつなくこなせる。

女性にだって特に不自由したことなんてない。


だから、というわけではないが、まだ結婚する気にはなれなかった。

それに今は仕事が忙しいし、見合い相手にかまっていられる時間なんてない。

いつものように見合い写真を突っ返していれば、お祖父様が先方にうまく断ってくれている。
< 2 / 103 >

この作品をシェア

pagetop