婚約者は高校生
駅からほど近い都内の一等地に立つ見上げるほど高いビル。
株式会社エージェント。
名前だけ聞いたらスパイのように感じるが、そうではなくれっきとした会社だ。
主に扱っているのは女性向けダイエット食品や、サプリメント。
その会社を設立し、大きくしたのが会長である祖父、そして現社長は父親。
そしてそこで働く俺、多賀亮介(タガ リョウスケ)。
いずれは会社を継ぐ身である俺に見合い話なんて、今までたくさんあった。
俺は自分で言うのもなんだが、そこそこ顔はいいほうだと思うし、わりとなんでもそつなくこなせる。
女性にだって特に不自由したことなんてない。
だから、というわけではないが、まだ結婚する気にはなれなかった。
それに今は仕事が忙しいし、見合い相手にかまっていられる時間なんてない。
いつものように見合い写真を突っ返していれば、お祖父様が先方にうまく断ってくれている。