婚約者は高校生


「だが断る」



スッパリ言うと彼女の瞳に影が落ち、彼女の視線は紅茶のカップに注がれた。


諦めて帰るか?
それとも泣き落としてでも食いついてくるか?

どちらにしても悲しげな顔をされるのは不本意だが、これだけは言っておかなければならない。



「その話、俺にメリットがあるとは思えないんでね」



悪いが一応忙しい身なんでね。

同情でつきあってられるほど暇じゃないんだ。

どうしても、と言うなら俺を引き付ける何かを出してみなよ。



「メリット、ですか」



彼女は紅茶のカップを包み込んでいる手に力を込めた。



「そうだ。仮初めの婚約者になってほしいというのはそっちの都合だろう。俺には意味がないものだ」


俺はそう言って目の前に置かれたコーヒーに口をつけた。


さて、どう答える?


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