婚約者は高校生
「ところで…姫紀さんと会ったのだろう?どうなったか知りたくてな」
どうなったかって?
彼女の事情を聞いて、婚約者の件を断っただけだが何か問題でもあったのだろうか。
…まあ、問題はあるか。
なにせ会社の利益になるはずの彼女からの話を断ったのだから。
でも、期間限定では意味のないものだし断って正解だろう。
それよりも俺の貴重な睡眠時間を潰されたことにあの時は少しイラついたな。
「どうにもなりませんよ。ただ、寝ているところを起こされましたけどね」
少しぶっきらぼうに言うと「はぁ」とお祖父様はため息をついた。
「亮介、そんな態度をあの子にもしたのかい?」
頭が痛い、と言わんばかりにお祖父様は片手で頭を押さえる。
「別にいいじゃないですか。俺はこれが素です。なんですか、彼女が文句でも言ってきたのですか?」
だったら好都合。
相手方から俺との付き合いを断ってくれた方が気が楽だ。
「そうではないが…」
お祖父様は困ったように俺を眺めながら机に置いていた封筒を手に取った。