婚約者は高校生
「まあいい。今日呼び出したのは頼みたいことがあってだな」
「なんですか?」
お祖父様は手にしていた封筒を俺に差し出した。
受け取ってみると、A4サイズの封筒は薄く軽い。
紙が1、2枚入っているといったところか。
「この封筒を姫紀さんに直接渡してもらいたい」
彼女に?しかも直接?
…面倒だな。
不満が顔に表れていたのかお祖父様の声が厳しいものへと変わる。
「いいな。必ず姫紀さんに手渡すんだ。間違っても他の者に託したりするんじゃないぞ」
「…はぁ。わかりましたよ」
とりあえずこれを彼女に渡せばいいんだな。
しかし、困ったな。
こんなことなら彼女の携番くらい聞いておけばよかった。
「話はそれだけだ」
お祖父様はくるりと椅子を回して俺に背を向けた。
「そうですか。ところでお祖父様」
「なんだ?」
「姫紀さんの携帯の番号ってわかりますか?」