婚約者は高校生
「瀬野尾…あんな子に用があるの?」
あんな子?
明らかに見下したような言い方に俺は内心首をかしげる。
確か姫紀さんはグループ会社のご令嬢で見た目もそんなに悪くない。
むしろよい方だ。
清楚系美人で目の前にいる子ほど派手なタイプではないが、礼儀はあるし、敵を作るような感じではないように見えたけどな。
…っと、それは大人の考えか。
もしかしたら高校生の世界では違うかもしれないな。
大人に認められるような子ほど妬まれる、というのはありそうだし。
「瀬野尾さんを知ってるんですね。彼女を呼んでもらえると助かるのですが」
対外的な笑みを浮かべながら尋ねると、派手な子は艶のある唇に指をのせて妖艶に微笑んだ。
「あんな子なんて放っといてあたしとどこか行きません?」
やはり、というべきか。
案の定、目の前にいる派手な子は俺を誘ってきた。