婚約者は高校生
ただ…なんだ?
何かあるのか?
「あ…いえ、なんでもありません。確かに受けとりました。届けてくださってありがとうございました」
「ああ」
ペコリと頭を下げた彼女に背を向けて歩き出そうとすると「多賀さん」と、後ろから声をかけられた。
「なんだ?」
まだ話すことがあるのか?
俺は足を止めて彼女に向き直る。
「あの…婚約者の件ですけれど」
「あれは断っただろ」
「多賀さんにメリットがないから、ということでしたよね」
「……そうだったな」
しかし、メリットは一応ある。
今しがた出来たようなもんだけどな。
「多賀さん、私に少し時間をくれませんか?多賀さんのお役に立てることを探す時間を私にください」
彼女は俺の目を見ながら必死に訴えてきた。
正式に断られる前にどうにか俺を引き留めようとしているのだろう。
さて、どうしようか。