婚約者は高校生

「アルバイト?聞いていませんが」



聞いていないどころか、頼んだ覚えもない。


忙しくて頼んだことを忘れてしまっているのか?そんなはずはないと思うんだけどな。


頭をひねっていると、



「《上》からの指示です」


コソリと人事の人が教えてくれた。


なるほど。納得がいった。

《上》からの指示、ということは会長か社長か、とりあえず上のクラスの者の指示でうちの部署に来たというわけだ。

今回の場合は、間違いなくお祖父様…会長の仕業だろう。


いったい何を考えているのか。

俺は頭を押さえてため息をついた。



「はぁ…わかりました。こちらの部署でお引き受けします」



「よろしくお願いします。坂下さん、この方が部長の多賀さん」



「よろしくね、坂下さん」


対外的な笑顔を向けると、彼女もにこっと笑顔を返してくる。



「はい。精一杯頑張りますのでよろしくお願いいたします」



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