婚約者は高校生
彼女が会社を去ってから、俺は発売が迫った新商品のおかげでいつも以上に忙しくなっていた。
連日続く残業に心身ともに疲弊しているのは確かだ。
あともう少しすれば落ち着くのだろうが、それまでは気を抜くことはできない。
俺に婚約者がいるとか(いるけど)そんな噂に構っている余裕はないんだ。
「そんなことより新商品のポスターの仕上げはどうなってる?修正は上がってきてるのか」
ピリッとした空気を感じ取ったのか、山科はすぐに顔を引き締めすぐに指定したものを差し出した。
俺はそれを受け取り、最終チェックをする。
「これで進めてくれ」
「はい。わかりました」
俺のだけでなく、周りも新商品の発売に向けて忙しく動いている。
噂はすれど、こんなときに俺を誘おうとする強者はさすがにいないだろう。