魅惑な彼の策略にはまりました
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「あれは、よくなかったな」
帰り道、私の横で宗十郎が言った。
居酒屋“招き猫”は私たち三人の自宅の中間地点にあり、帰る方向が一緒なのは、私と宗十郎。私たちは公園を抜けて近道の最中だ。
私は自己嫌悪で肩を落とし頷く。
「うん、最低なことを言った。反省してる。……とってつけたような愚痴を言って、リリを傷つけた」
それに、激しく図星だったことも痛い。
“寂しい”
結局それに尽きるんだと思う。
ひとりが寂しいから、子どもや夫が欲しくなる。
だからって、恋に走り出そうとすると、走り方を忘れていることに気付く。
イイ男をゲットするためのセオリーは、5年以上前のもので、きっと使用期限切れ。
それじゃあ、男のランクを落としましょう……なんてさ。
妥協して男を選ぶっていうほど、自分に自信もなくなってるのよね。
以前はあった自分への価値意識が薄くなっているのは、やっぱり年齢を重ねてきてるせいかな。
この前の飲み会とワンナイトは、きっかけに過ぎない。